生活保護を過去に受けていた人を含め、生活保護費の「追加給付」が進められています。
今回の追加給付は、2013年から行われた生活扶助基準の改定について、2025年6月27日に最高裁判所が違法と判断したことを受けて実施されているものです。
現在も生活保護を受けている人だけが対象ではありません。過去に生活保護を受けていて、現在は受給していない人も対象になる場合があります。
ただし、対象になる期間や申出の必要性、支給額は人によって異なります。
この記事では、2026年10月4日現在の厚生労働省の情報をもとに、誰が対象になるのか、申出は必要なのか、いつ支給されるのか、いくら程度になるのかを分かりやすく整理します。
- 生活保護費の追加給付が行われる理由
- 追加給付の対象になる人
- 現在生活保護を受けていない人の手続き
- 申出できる期間と必要書類
- 追加給付はいくらになるのか
- いつ振り込まれるのか
- 2026年10月からの特例加算との違い
生活保護費の追加給付とは?
今回の追加給付は、生活扶助基準の「新たな水準」と「従来の水準」との差額を、対象者へ追加して支給するものです。
2013年から2015年にかけて、生活扶助基準の改定が行われました。
その後、この改定をめぐる裁判が続き、2025年6月27日に最高裁判所が生活扶助基準の改定を違法と判断しました。
最高裁判決を受けて差額を追加給付
最高裁判所は、生活扶助基準の改定について、生活保護法3条と8条2項に違反すると判断しました。
最高裁判決では、デフレ調整に関する厚生労働大臣の判断の過程や手続きに、過誤や欠落があったと指摘されています。
これを受けて厚生労働省は、新たな基準を設け、対象者への追加給付を進めています。
単純に過去に減った生活保護費を、そのまま全額返す仕組みではありません。

生活保護費の追加給付は誰が対象?
追加給付の対象は、生活保護を受給していた時期や、当時算定されていた生活扶助費・加算などによって決まります。
特に、2013年8月から2018年9月までに生活保護を受給したことがある世帯は、すべて対象になります。
2013年8月から2018年9月までに受給していた世帯
2013年8月から2018年9月までの間に生活保護を受給したことがある世帯は、追加給付の対象です。
現在も生活保護を受けているかどうかは問いません。
すでに生活保護の受給を終えている人でも、この期間に受給歴があれば対象になります。
2018年10月から2026年3月までに受給していた世帯
2018年10月から2026年3月までについては、すべての受給世帯が同じ条件で対象になるわけではありません。
この期間は、対象となる生活扶助費や加算などが算定されていた人・世帯が追加給付の対象になります。
主な対象には、次のようなものがあります。
- 入院患者日用品費が算定されていた人
- 救護施設などの基準額や介護施設入所者基本生活費が算定されていた人
- 障害者加算など対象となる加算が算定されていた人
- 毎年12月の期末一時扶助が算定されていた世帯
このほかにも対象となる加算があります。
2018年10月以降の対象範囲は複雑なため、自分が該当するか分からない場合は、当時生活保護を受けていた自治体や追加給付相談センターへ確認できます。
現在生活保護を受けていない人も対象になる
今回の追加給付で見落としやすいのが、現在は生活保護を受けていない人も対象になり得る点です。
対象期間中に生活保護を受けていた場合、現在の収入や現在生活保護を受けているかどうかだけで対象外になるわけではありません。
| 現在の状況 | 基本的な手続き |
|---|---|
| 現在も同じ自治体で生活保護を受給中 | 原則として申出不要 |
| 現在は生活保護を受給していない | 当時受給していた自治体へ申出が必要 |
| 過去に別の自治体でも受給していた | 過去に受給していた各自治体へ申出が必要 |
現在受給中なら原則として申出不要
現在も同じ自治体で生活保護を受けている世帯は、原則として自分から申出をする必要はありません。
自治体が対象を確認し、準備状況に応じて2026年3月から順次追加給付を行っています。
過去に別の自治体で受給していた場合は注意
現在生活保護を受けている人でも、対象期間中に別の自治体で生活保護を受けていた場合は注意が必要です。
たとえば現在A市で生活保護を受けていて、過去にB市やC市でも受給していた場合、A市の分は原則として手続き不要ですが、B市とC市には申出が必要です。
それぞれの自治体が、自ら担当していた受給期間について追加給付を行うためです。

現在受給していない人の申出期間はいつまで?
現在生活保護を受給していない世帯について、国が定めている申出受付期間は次のとおりです。
2026年8月1日から2027年7月31日まで
およそ1年間の受付期間があります。
厚生労働省では、当時生活保護を受けていた自治体に対して、原則として当時の世帯主から申出を行うよう案内しています。
多くの自治体では開庁日の平日に受け付けています。
受付方法は自治体によって異なり、郵送・電子申出・窓口などの方法があります。
すべての自治体が同じ方法に対応しているわけではないため、実際に手続きをするときは、当時受給していた自治体の案内を確認してください。
どこに申出をする?
原則として、追加給付の対象期間に生活保護を受けていた自治体へ申出をします。
現在住んでいる自治体とは限りません。
たとえば2015年当時は横浜市で生活保護を受け、その後ほかの地域へ引っ越している場合は、当時生活保護を受けていた自治体へ確認します。
複数の自治体で受給していた場合は、それぞれの自治体への申出が必要になります。
生活保護費の追加給付の申出に必要なもの
厚生労働省は、現在生活保護を受けていない人向けに、申出書の標準様式と必要書類を案内しています。
- 追加給付の申出書
- 申出者の本人確認書類の写し
- 全世帯員の戸籍謄本の写し(全部事項証明書)
- 外国人の場合は全世帯員の住民票の写し
- 振込口座を確認できる預貯金通帳またはキャッシュカードの写し
- 追加給付に必要な調査についての同意書
- 必要に応じて加算などを確認する資料
本人確認書類には、マイナンバーカードの表面や運転免許証、在留カード、障害者手帳、パスポートなどが使えます。
戸籍謄本や外国人の場合の住民票は、原則として発行から3か月以内のものが必要です。
現在も生活保護を受けている場合は、戸籍謄本や住民票に代えて保護受給証明書を使える場合があります。
また、電子申請で必要な確認ができる場合や、対象者全員が自治体の窓口で本人確認を受けられる場合など、戸籍謄本や住民票の提出が不要になるケースもあります。
生活保護を受けていた当時と現在で姓が違う場合は、当時の姓が記載された戸籍謄本も必要になります。
代理人が手続きをする場合は、委任状や代理人の本人確認書類、申出者との関係を証明する書類などが必要です。
自治体独自の申出書を用意している場合もあるため、提出前に申出先の自治体のホームページを確認すると安心です。
生活保護費の追加給付はいくらもらえる?
追加給付額は一律ではありません。
当時の年齢、世帯人数、住んでいた地域、生活保護を受けていた期間、加算の有無などによって変わります。
厚生労働省は、2013年8月から2026年3月まで継続して生活保護を受けていた場合の参考例を公開しています。
| 世帯の例 | 地域 | 追加給付額の例 |
|---|---|---|
| 60歳代の単身世帯 | 都市部(1級地-1) | 約10万5,000円 |
| 30歳代夫婦と4歳の子ども1人 | 都市部(1級地-1) | 約20万4,000円 |
| 60歳代の単身世帯 | 地方部(3級地-2) | 約8万5,000円 |
| 30歳代夫婦と4歳の子ども1人 | 地方部(3級地-2) | 約16万1,000円 |
これはあくまで厚生労働省が示したモデルケースです。
「自分も10万円ほどもらえる」と決まっているわけではありません。
生活保護を受けていた期間が一部だけの場合は、その対象月数に応じた金額になります。
また、参考例には各種加算が含まれていません。対象となる加算や入院患者日用品費などが算定されていた場合は、参考例より追加給付額が増える場合があります。
金額はなぜ人によって違う?
生活保護費は、全国の受給者に同じ金額が支給されているわけではありません。
年齢や世帯人数、住んでいる地域などによって基準額が異なるため、今回の追加給付額にも違いが出ます。
追加給付率は、対象となる基準生活費や加算などについて、2013年8月から2014年3月までは0.8%、2014年4月から2015年3月までは1.6%、2015年4月以降は2.4%が基本となります。
ただし、対象となる費目ごとに追加給付の対象期間が異なります。
たとえば期末一時扶助については、2013年8月から2026年3月まで2.4%の追加給付率が適用されます。
このため、自分で一律に計算した金額と、実際に自治体から支給される金額が一致するとは限りません。
追加給付はいつ振り込まれる?
追加給付の振込日は全国一律ではありません。
自治体ごとに対象者の確認や金額の計算を行うため、準備状況によって支給時期が異なります。
現在生活保護を受けている人
現在受給中の世帯については、自治体の準備が整ったところから2026年3月以降、順次追加給付されています。
まだ支給されていない場合は、現在生活保護を担当している福祉事務所などへ確認できます。
現在生活保護を受けていない人
現在受給していない人については、申出を受けた自治体が当時の受給歴などを確認したうえで、順次支給します。
そのため、「申出から全国一律で何日後に振り込まれる」という決まりはありません。
具体的な支給時期を知りたい場合は、申出先となる自治体へ確認してください。

2026年10月からの「月額2,500円」と追加給付は別の制度
2026年10月から、生活扶助基準の特例加算が原則として1人当たり月額2,500円になりました。
ただし、この2,500円の特例加算と、最高裁判決を受けて過去分を支給する今回の追加給付は別のものです。
| 最高裁判決を受けた追加給付 | 2026年10月からの特例加算 | |
|---|---|---|
| 目的 | 過去の生活扶助基準改定への対応 | 現在の生活扶助基準への臨時的な対応 |
| 対象 | 過去の対象期間に生活保護を受けていた人など | 生活保護受給者 |
| 金額 | 年齢・世帯・地域・受給期間などで異なる | 原則1人当たり月額2,500円 |
| 時期 | 自治体ごとに順次支給 | 2026年10月から1年間 |
2026年9月までの特例加算は、1人当たり月額1,500円でした。
2026年10月からは1,000円引き上げられ、原則として1人当たり月額2,500円となっています。
ただし、入院患者や介護施設入所者の特例加算は月額1,000円です。
また、特例加算を加えても従前の基準額から減額になる世帯については、従前の基準額を保障する措置があります。
そのため、「生活保護で2,500円もらえる」という情報を見た場合も、過去分の追加給付とは分けて考える必要があります。
生活保護費の追加給付でよくある疑問
仕事をして収入があった期間も対象?
対象になる場合があります。
厚生労働省は、就労などによる収入があり、生活扶助費が支給されなかった期間や、一部しか支給されなかった期間についても、今回の追加給付の対象になると案内しています。
追加給付を受けると現在の生活保護の収入になる?
今回の追加給付は、現在の生活保護における収入認定の対象にはなりません。
現在生活保護を受けている人が追加給付を受けても、その給付額がそのまま収入として認定される仕組みではありません。
ただし、生活保護で保有が認められていない物品の購入などが新たに認められるという意味ではありません。
当時の世帯員が亡くなっている場合は?
亡くなった人本人の分については、追加給付の対象になりません。
一方、当時同じ世帯だった人が現在も存命の場合は、その人の分が追加給付の対象になります。
当時の世帯主が亡くなっている場合など、申出方法を自分で判断しにくいケースでは、当時受給していた自治体や追加給付相談センターへ確認してください。
結婚や離婚で姓が変わっている場合は?
姓が変わっていても、対象期間中の受給歴がなくなるわけではありません。
現在の姓と生活保護を受けていた当時の姓が違う場合は、現在の戸籍謄本に加えて、当時の姓が記載された戸籍謄本も必要になります。
申出をすると支給決定の連絡は来る?
追加給付の支給が決まると、自治体から世帯主へ追加給付決定通知書が送付されます。
対象かわからない場合の問い合わせ先
厚生労働省は、今回の追加給付について専用の相談センターを設けています。
最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付相談センター
- 電話番号:0120-179-445
- 通話料:無料
- 受付時間:平日9時から17時
- 2026年8月から10月は土日祝日も受付
相談センターでは、追加給付の内容や対象、申出方法などについて案内しています。
個人ごとの正式な追加給付額は、当時の年齢や世帯人数、地域、受給期間、加算の有無などによって変わるため、相談センターで確定額を回答することはできません。
ただし、受給当時の状況を伝えることで、似た世帯構成の参考額を案内してもらえる場合があります。
まとめ|過去に生活保護を受けていた人も対象を確認しよう
生活保護費の追加給付は、2025年6月27日の最高裁判決を受けて進められているものです。
2013年8月から2018年9月までに生活保護を受けていた世帯は、現在生活保護を受けていなくても対象になります。
2018年10月から2026年3月についても、入院・入所していた人や各種加算、期末一時扶助などが算定されていた場合は対象になる可能性があります。
現在も同じ自治体で生活保護を受けている世帯は、原則として申出は必要ありません。
一方、現在は生活保護を受けていない人は、当時生活保護を受けていた自治体への申出が必要です。
国が定めた申出期間は、2026年8月1日から2027年7月31日までです。
支給額は一律ではなく、年齢や世帯人数、地域、受給期間、加算の有無などによって変わります。
厚生労働省の参考例では、60歳代の単身世帯で約8万5,000円から10万5,000円、30歳代夫婦と4歳の子ども1人の世帯で約16万1,000円から20万4,000円となっています。
また、2026年10月から始まった原則1人当たり月額2,500円の特例加算は、今回の過去分の追加給付とは別の仕組みです。
過去に生活保護を受けていたものの、自分が対象になるか分からない場合は、当時受給していた自治体や国の追加給付相談センターで確認できます。
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