不動産ファンド「みんなで大家さん」を運営する都市綜研インベストファンド株式会社に対し、大阪府は2026年9月1日、不動産特定共同事業の許可を取り消す処分を行いました。
「みんなで大家さん」は、個人などから出資を募り、不動産から得られる賃貸利益などを分配する仕組みの商品です。
しかし、2025年以降は分配金や出資金の返還をめぐる問題が表面化し、出資者による集団訴訟にも発展しています。
さらに運営会社は約2881億円の債務超過となり、大阪府は、すでに償還期限を迎えた商品で出資金を返還できていないことや、今後償還を迎える商品の全額返還についても「極めて困難」と判断しました。
報道では「事実上の事業終了」と伝えられていますが、許可が取り消されたからといって、既存契約や出資者への対応がその場で全て終了するわけではありません。
この記事では、「みんなで大家さん」の許可が取り消された理由や「事業終了」の意味、出資金は今後どうなるのか、進行中の訴訟について、2026年9月1日時点で確認できる情報を整理します。
この記事でわかること
- みんなで大家さんに対する大阪府の許可取消処分
- 「事実上の事業終了」とはどういう意味なのか
- 約2881億円の債務超過と償還遅延の状況
- 出資金や分配金は今後どうなるのか
- 出資者による集団訴訟の状況
- 会社側の見解と今後注目すべき動き
みんなで大家さんは事実上の事業終了へ

大阪府は2026年9月1日、「みんなで大家さん」の営業者である都市綜研インベストファンド株式会社について、不動産特定共同事業法に基づく事業許可の取消しと指示処分を行いました。
MBSなどは今回の処分を受け、「事実上の事業終了へ」と報じています。
ただし、大阪府が正式に発表した処分内容は「許可の取消し及び指示」です。既存契約に関する業務まで即座に消滅するわけではありません。
大阪府が2026年9月1日に事業許可を取り消し
処分を受けたのは、都市綜研インベストファンド株式会社です。
大阪府が公表した主な処分内容を整理すると、次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 処分日 | 2026年9月1日 |
| 対象会社 | 都市綜研インベストファンド株式会社 |
| 許可番号 | 大阪府知事 第8号 |
| 処分内容 | 不動産特定共同事業の許可取消し・指示 |
| 主な理由 | 財務基準への不適合、法令違反、償還遅延など |
| 今後 | 既存契約に関する業務を適切に結了するよう指示 |
今回の処分によって、これまでのように不動産特定共同事業者として新たな事業を続けていくことはできなくなります。
そのため、報道では「事実上の事業終了」と表現されています。
許可取消でも既存契約の処理は続く
ここは今回のニュースで誤解しやすいポイントです。
大阪府は、許可が取り消された場合でも、すでに締結している不動産特定共同事業契約に基づく業務が終わっていなければ、その業務を結了する目的の範囲では不動産特定共同事業者とみなされると説明しています。
「許可取消=会社がその日にすべての対応を終了する」という意味ではありません。
既存の出資者との契約や運用財産について、適切に処理していくための業務は残ります。
大阪府も都市綜研インベストファンドに対し、事業参加者間の公平に配慮しながら業務を適切に結了するよう求めています。
会社側も行政処分について見解を公表
「みんなで大家さん」側も2026年9月1日、今回の行政処分について公式サイトで見解を公表しています。
会社側は行政処分を重大に受け止めるとした一方で、処分に至る事実関係や法的評価のすべてについて、行政庁と同一の見解に立っているものではないと説明しています。
また、既存の事業参加者の財産や権利を最大限保護し、可能な限り償還につなげることが重要との考えを示しています。
そのため、行政側の認定と会社側の見解は区別して確認する必要があります。
みんなで大家さんはなぜ許可取り消しになった?
大阪府が許可を取り消した理由は、単に「経営状態が悪くなったから」だけではありません。
約2881億円の債務超過に加え、賃料の支払状況について事実と異なる内容を記載した契約成立前書面の交付や、出資金の償還遅延など、複数の問題が処分理由として示されています。
約2881億円の債務超過
大きな問題の一つが、巨額の債務超過です。
大阪府によると、都市綜研インベストファンドが2026年7月28日に提出した2025年度の事業報告書では、
資産合計-負債合計=マイナス288,131,769千円
となっていました。
金額にすると、約2881億円の債務超過です。
同社の資本金は約29億2300万円で、大阪府は不動産特定共同事業法で求められる財務基準を満たしていないと判断しました。
賃料の支払い遅延を「該当なし」と記載
大阪府の処分資料では、投資判断に関わる情報の扱いについても問題が指摘されています。
大阪府は、一部の商品について、対象不動産のテナントから賃料が支払われていないことを代表取締役らが認識していたにもかかわらず、契約成立前に交付する書面で賃料の支払い遅延について「該当なし」と記載していたと認定しました。
対象となった9商品では、こうした書面によって計280人と契約し、出資額は計6億4300万円だったとされています。
大阪府は、この行為について法令違反であり、業務の公正を害する行為と判断しています。
2024年の行政処分後にも再び違反
都市綜研インベストファンドが行政処分を受けるのは、今回が初めてではありません。
2024年6月17日にも大阪府から、契約成立前に交付する書面の記載誤りなどを理由に、業務停止命令や指示処分を受けています。
大阪府は今回、前回の行政処分後にも再び法令違反が確認されたことを、処分理由の一つとしています。
償還期限を迎えた9商品すべてで返還できず
出資者にとって特に重要なのが、出資金の償還状況です。
大阪府の資料によると、2025年10月31日から2026年6月30日までに出資金を返還する必要があった商品は9商品ありました。
しかし、9商品すべてで期限までに返還できませんでした。
- 償還遅延額:計188億200万円
- 対象となる事業参加者数:計7511人
なお、「事業参加者数」は商品ごとの人数を合計した数字です。同じ人が複数の商品へ出資している可能性があるため、そのまま実人数を示す数字ではありません。
資金調達計画も繰り返し遅延
都市綜研インベストファンド側は、出資金を償還するための資金として、グループ会社が主導する海外での債券発行などによる大規模な資金調達を説明していました。
しかし、大阪府の処分資料には、その予定が繰り返し延期された経緯が記載されています。
2025年には債券発行を完了させる予定などが説明されていましたが実現せず、2026年6月末時点でも、大規模資金調達を実現できる具体的な時期は明確になっていませんでした。
みんなで大家さんの出資金は返ってくる?

今回のニュースを見た出資者にとって、最も気になるのは「出資したお金は返ってくるのか」という点でしょう。
しかし、2026年9月1日時点では、すべての出資者にいくら返還されるのか、いつ返還されるのかは確定していません。
「許可が取り消されたから全額返金される」とも、「もう全く返ってこない」とも、現時点では断定できません。
許可取消だけで自動的に全額返金されるわけではない
大阪府による許可取消は、行政上の処分です。
許可が取り消されたこと自体によって、出資者の口座へ自動的に元本が全額返還される制度ではありません。
実際の返還については、各商品の契約内容、運用財産の状況、会社の資産、今後の契約の結了方法などが関係します。
大阪府は「全額返還は極めて困難」と判断
一方で、返還をめぐる状況が厳しいことも大阪府の資料から読み取れます。
2026年6月30日時点で、都市綜研インベストファンドの固有勘定における現金預金残高は、
9241万7964円
でした。
大阪府によると、これは償還遅延額と今後の償還予定額を合わせた額の約0.05%です。
さらに、すでに償還が遅れている商品の金額は約188億円、今後償還予定の商品は最大約1724億6900万円に上ります。
大阪府は、こうした財産状況や資金調達の遅れなどを踏まえ、償還予定商品について期日までに出資価額の全部を返還することは「極めて困難」と判断しています。
「2881億円の債務超過=2881億円返金不足」ではない
ただし、約2881億円という債務超過額を、そのまま出資者への返還不足額と考えるのも正確ではありません。
債務超過とは、会社の負債が資産を上回っている財務状態を示すものです。
個々の出資者に最終的にいくら返還できるかは、対象不動産の処分価格や契約内容、債権・債務の整理などによって変わります。
現段階で「返還率は○%になる」といった数字を断定することはできません。
大阪府は出資者保護と財産保全を指示
大阪府は許可を取り消すだけでなく、都市綜研インベストファンドに対して、既存の出資者を保護するための複数の指示を出しています。
- 出資者へ処分理由と内容を速やかに説明する
- 出資者間の公平に配慮して業務を適切に結了する
- 運用財産について出資者保護に万全を期す
- 苦情などへ誠実かつ適切に対応する
- 会社財産を不当に費消しない
- 法令を順守し、業務管理体制を整える
特に注目したいのが、契約に基づく業務を結了するまでは会社財産を不当に費消しないことが明確に指示されている点です。
9月30日までに大阪府へ報告
大阪府は今回の指示への対応状況について、都市綜研インベストファンドに対し、
2026年9月30日までに書面で報告すること
を求めています。
さらに、その後も既存契約に基づく業務が結了するまで、大阪府の求めに応じて随時書面で報告するよう指示しています。
そのため、9月末から10月初旬にかけて、新たな情報が出る可能性があります。
みんなで大家さんをめぐる訴訟はどうなっている?
「みんなで大家さん」をめぐっては、許可取消以前から出資者による訴訟が進められています。
MBSの報道によると、約2500人の出資者が総額約232億円の返還を求めて集団提訴しています。
2026年には、出資者側への返還を命じる判決も相次いでいます。
84の出資者に約4億5500万円の返還を命じる判決
2026年6月5日、大阪地裁は25都道府県の84の出資者(1法人・83人)が起こした訴訟で、「みんなで大家さん」側に対し、総額約4億5500万円の出資金を返還するよう命じる判決を言い渡しました。
原告は、満期を迎えた商品などについて出資金が返還されていないとして返還を求めていました。
60人について約3億5260万円の返還命令も
さらに2026年6月10日には、解約手続きが完了していた出資者60人について、大阪地裁が出資金から解約手数料を差し引いた総額約3億5260万円を支払うよう命じる判決が報じられました。
これ以前の2026年3月にも、別の出資者3人について返還を命じる判決が出ています。
裁判で返還命令が出ても実際の回収とは別問題
注意したいのは、裁判所が返還を命じる判決を出したことと、実際にその金額が速やかに回収できることは同じではないという点です。
運営会社の財産状況によっては、判決で支払い義務が認められた場合でも、実際の回収には別の手続きが必要になることがあります。
大阪府が約2881億円の債務超過や現預金の状況を指摘していることから、今後は「返還義務があるか」だけでなく、「実際にどのように資金を確保して返還するのか」も重要な焦点になります。
「みんなで大家さん」出資者3万7000人超への影響は?
MBSの報道によると、「みんなで大家さん」は3万7000人を超える出資者から2000億円を超える資金を集めたとされています。
今回の許可取消は、多くの出資者に関係する大きな問題です。
ただし、すべての出資者が同じ状況というわけではありません。商品によって契約期間や償還期限、出資額などが異なるためです。
大阪府資料の「7万2780人」とは違う?
大阪府の処分資料では、
- 償還遅延商品の事業参加者数:7511人
- 償還予定商品の事業参加者数:6万5269人
と記載されています。
合計すると7万人を超えますが、これをそのまま「実際の出資者が7万人いる」という意味に受け取るのは適切ではありません。
一人の出資者が複数の商品へ出資していれば、それぞれの商品で事業参加者として数えられるためです。
報道されている「3万7000人超」という出資者数と、大阪府資料の商品ごとの「事業参加者数」は、集計方法が異なる数字として見る必要があります。
みんなで大家さんは今後どうなる?
2026年9月1日時点で、「みんなで大家さん」が従来と同じ形で不動産特定共同事業を続けていくことはできなくなりました。
一方で、今後の最大の問題は「会社が終わるかどうか」という表現上の問題ではなく、残された契約と財産をどう整理し、出資者への返還をどう進めるのかです。
既存契約を結了するための業務は残る
大阪府は、既存契約の業務が終わっていない場合、業務を結了する目的の範囲で不動産特定共同事業者とみなされると説明しています。
そのため今後も、次のような対応が続くと考えられます。
- 不動産や運用財産の管理
- 既存契約の整理
- 出資者への説明
- 償還・返還への対応
- 大阪府への報告
今後確認したい4つのポイント
- 都市綜研インベストファンドから出資者への説明
大阪府から速やかな説明を求められているため、会社側が具体的にどのような方針を示すのかが重要です。 - 大阪府への9月30日までの報告
既存契約をどのように結了していくのか、対応状況が注目されます。 - 資産の売却や資金調達の進展
出資金の返還には資金が必要です。保有資産や資金調達が今後どうなるのかが焦点になります。 - 集団訴訟や実際の返還状況
すでに複数の返還命令判決が出ています。今後の裁判だけでなく、実際の返還状況も確認する必要があります。
まとめ
「みんなで大家さん」を運営する都市綜研インベストファンドに対し、大阪府は2026年9月1日、不動産特定共同事業の許可を取り消しました。
報道では「事実上の事業終了」とされていますが、既存契約に基づく業務まで即座に消滅するわけではありません。
大阪府は、残された業務を適切に結了し、出資者間の公平に配慮するとともに、事業参加者の保護に万全を期すよう会社側へ指示しています。
処分の背景には約2881億円の債務超過だけでなく、賃料の支払い状況について大阪府が事実と異なる記載と認定した契約書面の問題、過去の行政処分後に再び法令違反が確認されたこと、償還期限を迎えた9商品で出資金を返還できていないことなどがあります。
一方、会社側は行政処分を重大に受け止めながらも、処分に至る事実関係や法的評価のすべてについて行政庁と同一の見解ではないとしています。
出資者にとって最も気になる「出資金は返ってくるのか」については、2026年9月1日時点で、すべての出資者への返還額や返還時期は確定していません。
大阪府は、今後償還予定の商品について期日までの全額返還は「極めて困難」と判断しています。ただし、許可取消だけを理由に「全額返ってこない」と断定することもできません。
すでに大阪地裁では一部の出資者について返還を命じる判決が相次いでいますが、判決で返還義務が認められることと、実際に資金を回収できることは分けて考える必要があります。
今後は、会社側が出資者へどのような説明を行うのか、資産や既存契約をどう整理するのか、そして2026年9月30日までに大阪府へどのような対応状況を報告するのかが重要な焦点となります。
個別の契約や返還請求については、それぞれの出資状況によって異なります。出資者本人が対応を判断する場合は、契約書や会社からの通知を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することも選択肢となります。
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