自民党内で石破総理の再選を巡る議論が激化しています。
2025年参院選での敗北、党四役のドミノ辞意、そして相次ぐ派閥の動き——。
政治の空白を避けるべきか、それとも刷新が必要なのか、国民の視線も厳しさを増しています。
特に注目されているのが、「総裁選前倒し」への動きです。
すでに複数の県連が前倒しを支持し、国会議員からも賛否の声が上がっています。
一方、石破総理は続投の意向を強調し、追加経済対策を示すなど実績を前面に出して反発。
対する麻生氏や旧安倍派は「続投は認めない」と強硬姿勢を取っており、政局は一触即発の様相を呈しています。
この記事では、自民党総裁選をめぐる現状と各派閥の思惑、そして石破政権の今後について分かりやすく解説します。
日本の舵取りを左右する重要な局面——。
読者の皆さんと一緒に、政治の「いま」を読み解いていきましょう。
なぜ今、自民党総裁選再選が問題となっているのか?
自民党内外で石破総理の再選を巡る議論が活発化しています。
背景には参院選の敗北や、党の中枢メンバーの辞意など、深刻な政治的危機が横たわっています。
参議院選挙での敗北が発端に
自民・公明は目標の50議席を割り込み、過半数を失いました。
- 【事実】2025年7月の参院選で、自民・公明連立は過半数に届かず。
- 【影響】これにより、石破政権に対する民意が否定されたとする見方が広がりました。
- 【党内反応】党内では「3連敗(衆院・都議・参院)による責任を取るべき」との声が高まっています。
解説:選挙は内閣や党の信任を問う場です。
今回の結果は、石破政権に対する信頼喪失を明確に示しています。
党四役の「ドミノ辞任」が火に油
党の要となる幹部たちが一斉に辞意を表明しました。
辞意を示した四役の顔ぶれ
- 森山裕 幹事長
- 鈴木俊一 総務会長
- 小野寺五典 政調会長
- 木原誠二 選対委員長
解説:彼らは党内の政策調整、選挙対策、運営の要です。
その辞意は党運営の機能不全を意味します。
辞任の理由と温度差
- 自発的な辞意もあれば、「進退伺」など曖昧な表現も。
- 森山氏に近い議員は「混乱回避が目的」と説明。
解説:辞任の表現に差があること自体、党内の温度差と混乱の深刻さを物語っています。
石破総理の姿勢が分岐点に
続投を明言した姿勢が、さらに党内の亀裂を広げました。
続投の根拠として挙げる理由
- 「国難対応」:人口減少、安全保障、地方創生など
- 「経済対策」:追加支援の方針を発表
解説:石破総理は自身の実績を掲げ、政治の空白を避ける責任を果たすと主張しています。
党内からの反発の声
- 「言い訳に過ぎない」「民意を無視している」との声も。
- 麻生派は「続投は認めない」と明言。
解説:総理の続投姿勢は、逆に「刷新」を求める勢力の反発を強め、政局を混迷させています。
両院議員総会での攻防
議決権を持つ総会が開かれ、事態は新たな段階へ。
- 【目的】中堅・若手議員が中心となり、総会開催を要求。
- 【背景】「懇談会では意味がない」「議決を通すべき」との声。
- 【展開】署名活動により、執行部は開催を受け入れた。
解説:両院議員総会の開催は、党の最高意思決定機関として、石破総理の続投を正面から問う場となります。
前倒し総裁選の可能性と手続き
石破総理の続投に対する批判が高まる中、党内では総裁選の「前倒し」実施を求める動きが加速しています。
その実現には具体的な手続きが必要であり、すでにその条件が整いつつあります。
総裁選前倒しの制度と条件
自民党には「臨時総裁選」を実施できる党則があります。
発動条件は“過半数”
- 衆参両院の自民党所属議員(約295人)と47都道府県連の代表、計342人の過半数(172人)が書面で要求すれば発動可能。
- 現在、8日15時が提出締め切りとされている。
書面提出の流れ
- 書面による「臨時総裁選挙要求」が必要。
- 賛同議員が署名し、総裁選挙管理委員会に提出する。
解説:手続き自体はシンプルですが、党内の“空気”や“派閥の結束”が大きく影響するため、実現には相当の政治的圧力が必要です。
賛成と反対の勢力図
前倒しに向けた県連・議員の動きが可視化されつつあります。
前倒し賛成の県連(11県連)
- 北海道、愛媛、兵庫など6県はすでに賛成を表明。
- 岩手、山梨など5県も賛成の方向で調整中。
反対の県連(4県連)
- 岡山、大分などは「実施を求めない」と明言。
解説:県連は「党の地方組織」を代表する声であり、その動向は議員の判断にも直結します。
議員の賛否(JNN・時事通信調査より)
- 前倒しを支持:54人
- 反対:15人
- 態度を示さず(未定・拒否・未回答):226人
ポイント:7割以上の議員が態度を明らかにしておらず、「情勢次第で動く」という姿勢が見えます。
手続きの進展と今後のスケジュール
現在の流れは、臨時総裁選の実現に向かって進みつつあります。
キーとなる日程
- 9月8日:書面提出の締め切り
- 9月9日以降:総裁選挙管理委員会の判断、日程公表の可能性
現在の情勢
- 高見政務官らがSNSで署名済み書面を公開。
- 一方で、赤沢経済再生相など、首相側近は「必要ない」と主張。
解説:提出数が過半数に届けば総裁選は確定。
反対派が多くても、情勢が流動的なため「逆転劇」も十分あり得る状況です。
「前倒し」に対する懸念と課題
前倒しを求める声が強まる一方で、党内には慎重な意見も根強くあります。
主な懸念点
- 「政局に見える」「民心がさらに離れる恐れ」
- 経済対策や外交への影響
- 与野党協議の停滞
総理側の抵抗
- 「政治空白をつくらない」ことを理由に反対姿勢
- 地方創生や追加経済対策を続投の正当性に
解説:前倒し実施には合理性がありますが、混乱回避や国政停滞への懸念も無視できません。
石破総理の続投意志とその狙い
選挙結果による逆風の中でも、石破総理はあくまで「続投」にこだわる姿勢を崩していません。
その背景には、国政課題への責任感と同時に、党内権力維持という現実的な政治戦略も見え隠れします。
石破総理の主張と政治的論拠
表向きの理由は「国家的課題への責任」です。
続投の主な理由と主張
- 「国難への対応」が最優先:人口減少、安全保障、地方創生など
- 「政治空白を作るべきではない」と明言
- 「経済政策を実行し続ける責任がある」と主張
解説:選挙敗北を受けても、石破氏は“今は辞めるべきではない”という「危機対応モード」を前面に押し出し、自らの政治的正当性を強調しています。
続投の裏にある戦略的思惑
本音では“時間稼ぎ”や“党内掌握”の狙いも。
見え隠れする政治的打算
- 政治空白を盾に辞任要求を「先送り」
- 総裁選前倒し阻止の時間稼ぎ
- 派閥の流動化を静観し、味方の結集を狙う
解説:続投表明は、単なる「責任感」ではなく、今後の政局で主導権を握るための布石とも捉えられます。
経済対策を武器に「実績アピール」
石破政権は新たな経済支援策で「成果」を強調し、続投の正当性を訴えています。
追加経済対策の準備
- 物価高騰に対応した追加予算を準備
- 各省庁に政策指示を出したとされる
財務省や党内の反応
- 財務省幹部「何の相談もない」「形式的すぎる」と批判
- 党関係者「支持率回復目的のポーズ」と冷ややか
解説:具体的な成果が見えないままの「経済対策」は、むしろ政治的パフォーマンスとの見方を呼び、逆効果になりかねないリスクも孕んでいます。
支持の維持とメディア戦略
石破氏は記者会見やSNSを通じて、国民への説明責任をアピールしています。
会見での発言ポイント
- 「逃げずに説明する」「丁寧に責任を果たす」
- 「しかるべき時期に判断する」と含みを持たせる
国民世論を意識した姿勢
- 支持率上昇の報道に乗じて強気を維持
- 政権延命に必要な“空気”づくりを重視
解説:「続投ありき」で動く党内情勢とは裏腹に、石破氏は国民へのアピールを武器に党内外の牽制を図っています。
反発と孤立も深刻化
続投にこだわる石破氏に対し、党内からは厳しい批判が相次いでいます。
反石破の急先鋒たち
- 麻生氏「続投は認めない」と周囲に明言
- 旧安倍派・高市氏らも「刷新すべき」と主張
「石破おろし」の地ならし
- 若手議員からも「責任の所在を明確に」との声
- 前倒し総裁選を求める署名活動が拡大
解説:石破総理の孤立は深まりつつあり、続投方針は党内分断を助長するリスクもはらんでいます。
対抗勢力とポスト石破の行方
石破総理の続投方針に対し、自民党内では強硬な対抗勢力が台頭しています。
次のリーダーを誰にするかという「ポスト石破」論争が、政局の主軸へと移りつつあります。
麻生派を中心とした「石破おろし」
党内最大勢力のひとつ、麻生派は明確に石破降ろしを主導しています。
麻生太郎氏の強硬姿勢
- 麻生氏は「続投は認めない」と周囲に明言
- 参院選の敗北を「けじめの機会」と位置づけ
麻生派の戦略
- 派閥内の結束を強化し、他派閥と連携
- 書面提出による前倒し総裁選実施を後押し
解説:「麻生おろし」ではなく「石破おろし」の構図に変化。
元首相の影響力はいまだ強く、政局のカギを握ります。
旧派閥間の動きと結集の可能性
旧安倍派や茂木派なども、石破退陣の流れに加わる動きが見られます。
主な派閥と動き
- 旧安倍派:裏金問題で打撃を受けつつも「刷新」で巻き返し狙う
- 旧茂木派:若手中心に署名活動を展開
共闘の可能性
- 「反石破」で各派が一時的に共闘
- キーマンは森山幹事長・菅前総理・茂木氏など
解説:本来は政策も方向性も異なる派閥同士が、「石破降ろし」という一点で共闘する構図が現実味を帯びています。
ポスト石破の候補者たち
石破退陣を見越し、複数の議員が次期総裁候補として名前が挙がっています。
有力候補一覧
- 岸田文雄 前総理:再登板論が浮上
- 高市早苗 前経済安保相:「戦う覚悟」表明
- 小林鷹之 元安保相、林芳正 官房長官なども候補に
解説:岸田氏は年齢や経験面で安定感があり、麻生氏の支援を得られれば「再登板」は現実的。
高市氏は保守層に強く訴求。
外部連携・連立再編の可能性も浮上
政局が長期化すれば、連立再編や野党との協調も現実味を帯びてきます。
国民民主党との連携構想
- 玉木代表を「首相候補」として擁立する案も浮上
- 1994年の「村山連立」方式の再来との声も
野党側の見解
- 立憲民主・野田代表:「石破ノー」は民意
- 維新・参政など、第三極の動向も注視
解説:「自民・公明」だけでは立ち行かない局面で、現実的な選択肢として“連立の再構築”が検討され始めています。
今後の焦点と政局のシナリオ
ポスト石破をめぐる政局は、今後数週間で急展開を迎える可能性があります。
注目すべきポイント
- 9月8日:前倒し総裁選実施の締め切り
- 両院議員総会での石破批判の強さ
- 派閥間の合従連衡と候補一本化
想定されるシナリオ
- ① 前倒し総裁選 → 新総裁誕生
- ② 石破続投 → 野党不信任案提出
- ③ 連立再編 → 玉木氏らとの連携政権
解説:どのシナリオにも共通しているのは、石破氏の立場が極めて不安定であるという点です。
参政党など新勢力の台頭と自民党の危機感
2025年の参院選で注目されたのが、参政党をはじめとする“新勢力”の躍進です。
従来の与野党では吸収しきれなかった有権者の不満が、これらの新しい政党に向けられ、自民党にとって大きな脅威となっています。
参政党の急成長とその背景
参政党は“ネット発の草の根政党”として短期間で支持を拡大しました。
参政党の主張と政策
- 「日本人ファースト」「積極財政」「子育て支援」「減税」などを掲げる
- 保守層や中間層の「既存政党不信」を吸収
- 若年層やネット層を中心に支持が拡大
組織と影響力
- 地方支部を全国に展開、地方議員も多数
- 比例票では立民・国民と並ぶ“第3極”に
解説:無党派層の受け皿がなかった空白地帯を、明確な言葉とSNS戦略で切り開いたのが参政党です。
自民党の保守票を脅かす存在に
本来自民党の支持層だった“保守的な無党派”が流出しています。
具体的な影響
- 「1人区」など地方選挙区で自民票が割れ敗北
- 鹿児島では保守分裂+参政候補により混戦
- 東京・愛知・福岡など都市部でも議席獲得
自民党内の危機感
- 森山幹事長「鹿児島らしくない選挙」と発言
- 進次郎農相らを現地に送り込む“テコ入れ”の異例対応
解説:保守王国での劣勢や都市部での苦戦は、もはや一時的な現象ではなく“構造的危機”を意味しています。
維新・国民など他の第三極の動向
参政党だけでなく、維新や国民民主も存在感を強めています。
維新の戦略
- 京都で議席獲得(維新初)など着実に地方拡大
- 連立には否定的だが、政策協議で影響力拡大を狙う
国民民主の立ち位置
- 連立政権入りをにおわせる発言(ただし「石破政権とは組まない」)
- 玉木氏の首相就任案なども取り沙汰される
解説:第三極の伸長は、「自民党一強」に依存していた体制そのものを揺さぶる大きな流れになりつつあります。
自民党の対応と今後の展望
新勢力の影響を受けた自民党は、路線転換か分裂か、厳しい判断を迫られています。
自民の選択肢
- 保守層の取り戻しに向けた「政策右寄り化」
- 「地方創生」など重点分野への資源集中
- 第三極との政策連携・限定的連立も視野に
危機感が見せる変化の兆し
- 若手議員の中に「党を抜けてでも立て直す」との声
- 維新や参政党との選挙協力を模索する動きも一部に
解説:自民党は今、戦後最大級のアイデンティティ再構築を迫られています。
対応を誤れば“本流”の座を奪われかねません。
まとめ
今回の自民党総裁選をめぐる動きは、単なる「党内人事」ではなく、日本の政治構造そのものの転換点となり得るものです。
3連敗の責任を問う声、党四役の辞意、県連の意見集約、そして参院選での有権者の審判。
こうした一連の流れが、石破政権の正統性を揺るがしています。
石破総理は「逃げずに説明する」として、経済対策や外交課題に意欲を示す一方で、党内からは「政治空白を埋めるための延命策ではないか」との批判も少なくありません。
実際、麻生派や旧安倍派などからは明確に「続投は認めない」との声が上がり、ポスト石破をめぐる駆け引きも活発化しています。
今後の焦点は、8日に締め切られる「前倒し要求」書面の提出数、そしてそれを受けての両院議員総会や臨時総裁選の実施可否です。
また、参政党など新興勢力の存在も無視できません。
有権者の不満を吸収しつつあるこれらの勢力が、キャスティングボートを握る可能性もあり、自民党にとっては二重の危機です。
「変わるべきは誰か」「今のままでいいのか」──政治の責任を誰が、どう果たすのかが問われています。
国民の一票が、日本の未来を左右する局面が、今ここにあるのです。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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