南海トラフ地震について、「いつ起きるの?」「もう近いのでは?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
2026年10月7日に気象庁が発表した最新の評価では、南海トラフ沿いで、大規模地震の発生可能性が平常時より相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。
ただし、これは「しばらく地震が起きない」という意味ではありません。
南海トラフ沿いでは、M8~M9クラスの大規模地震について、今後30年以内の発生確率が高い状態にあると評価されています。
この記事では、南海トラフ地震がいつ起きるのか、現在の発生確率、想定される被害、南海トラフ地震臨時情報、今からできる備えまで順番に解説します。
- 南海トラフ地震がいつ起きるのか
- 2026年10月現在の状況
- 30年以内の最新の発生確率
- 「60~90%程度以上」と「20~50%」の違い
- 想定されている震度や津波
- 最大クラスの場合の最新被害想定
- 南海トラフ地震臨時情報とは何か
- 家庭で今から準備できること
南海トラフ地震はいつ起きる?2026年現在も日時の予測はできない
最初に結論からお伝えすると、南海トラフ地震が「何年何月何日に起きる」と予測することはできません。
現在の科学技術では、大規模地震の発生日時や場所、規模を高い精度で事前に予測する方法は確立されていないためです。
そのため、「○月に南海トラフ地震が来る」「○日に大地震が起きる」といった情報がSNSなどで広がっても、気象庁などの公式情報を確認することが大切です。
2026年10月7日の気象庁の最新評価
気象庁は2026年10月7日、第110回「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の結果を公表しました。
現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震について、平常時と比べて発生可能性が相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。
2026年10月8日時点では、南海トラフ地震が目前に迫ったことを示す特別な観測結果は発表されていません。
一方で、昭和東南海地震と昭和南海地震から約80年が経過しています。
気象庁は、南海トラフ地震そのものについては、平常時であっても切迫性の高い状態にあると説明しています。
「特段の変化なし」は安全宣言ではない
ここは誤解しやすいところです。
「特段の変化は観測されていない」という発表は、「南海トラフ地震が起きない」という意味ではありません。
気象庁は、南海トラフ沿いで異常な現象が確認されないまま、地震が突然発生する場合もあると説明しています。
臨時情報が出るまで何もしなくてよいのではなく、普段から備えておくことが基本になります。
南海トラフ地震の30年以内の発生確率は?
南海トラフで発生するM8~M9クラスの地震は、地震本部の評価で、海溝型地震の中でも発生確率が高い「Ⅲランク」に分類されています。
2026年1月1日を基準とした30年以内の発生確率は、計算方法によって次の2種類が示されています。
| 計算方法 | 30年以内の発生確率 |
|---|---|
| すべり量依存BPTモデル | 60~90%程度以上 |
| BPTモデル | 20~50% |
数字に大きな差がありますが、どちらか一方が間違っているわけではありません。
異なる考え方による計算結果で、どちらにも科学的な根拠があります。
なぜ「60~90%程度以上」をよく見るの?
地震本部は、防災対策として具体的な数字を伝える場合、高い方の「60~90%程度以上」を念頭に行動することが望ましいとしています。
そのため、自治体の防災情報などでは、この数字を目にする機会が増えています。
ただし、「90%だから間もなく起きる」という意味ではありません。
30年間という期間の中で地震が起きる可能性を示した数字であり、発生日を予測したものではない点に注意してください。
以前の「80%程度」はどうなった?
以前は「今後30年以内に80%程度」という数字が広く使われていました。
現在は長期評価の見直しにより、2種類の計算方法による発生確率が示されています。
そのため、2026年時点の記事で「30年以内に80%」だけを書くと、現在の評価を十分に反映できません。
南海トラフとは?どこで地震が起きる?
南海トラフは、駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側、四国沖を通り、日向灘沖へ続く海底の地形です。
この付近では、海側のフィリピン海プレートが陸側のプレートの下へ沈み込んでいます。
プレートの境界にひずみがたまり、限界に達すると大きくずれ動きます。
これが南海トラフ沿いで巨大地震が起きる主な仕組みです。

過去にも繰り返し大地震が発生している
南海トラフ沿いでは、過去にも大規模な地震が繰り返し発生してきました。
- 1707年 宝永地震
- 1854年 安政東海地震・安政南海地震
- 1944年 昭和東南海地震
- 1946年 昭和南海地震
過去の記録を見ると、南海トラフ全体では大局的に100~200年程度の間隔で、大規模な地震が繰り返されてきたと考えられています。
ただし、一定の周期で時計のように発生するわけではありません。
過去の間隔だけを使って「次は○年」と断定することはできません。
南海トラフ巨大地震ではどこまで被害が広がる?
南海トラフ巨大地震の特徴は、被害が一つの県だけでは終わらず、広い地域へ同時に及ぶ可能性があることです。
2025年3月に公表された最新想定では、神奈川県から鹿児島県にかけて震度6弱以上の強い揺れが想定されています。
静岡県から宮崎県にかけての一部では、最大震度7になる可能性があります。
太平洋沿岸では大きな津波にも注意
揺れだけではなく、津波も南海トラフ巨大地震で大きな被害をもたらすと考えられています。
関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸では、広い地域で10mを超える大津波が想定されています。
場所によって津波の高さや到達時間は大きく異なります。
沿岸部に住んでいる方だけでなく、旅行や仕事で海の近くへ行く方も、避難場所を確認しておくと安心です。
自宅の危険度は全国一律ではない
「南海トラフ地震の対象地域だから危険」「対象地域から離れているから安全」と単純には判断できません。
揺れやすさ、津波、液状化、土砂災害などの危険度は、同じ市町村内でも場所によって違います。
自宅、勤務先、学校などについて、それぞれの自治体が公開しているハザードマップを確認してください。
南海トラフ巨大地震の最新被害想定
内閣府は2025年3月、最大クラスの南海トラフ巨大地震について、新しい被害想定を公表しました。
想定条件の中で被害が最大となるケースでは、次のような被害が見込まれています。
| 項目 | 最大の被害想定 |
|---|---|
| 死者数 | 約29万8,000人 |
| 全壊・焼失棟数 | 約235万棟 |
| 避難者 | 約1,230万人 |
| 停電 | 最大約2,950万軒 |
| 上水道の断水 | 約3,690万人 |
| 資産被害 | 最大約224.9兆円 |
数字だけを見ると不安になるかもしれません。
ただし、これは科学的に想定される「最大クラス」の地震について、複数の条件を組み合わせて計算した被害想定です。
次に発生する南海トラフ地震で、必ずこの被害が発生するという意味ではありません。
被害想定は備えるための数字
被害想定を見る目的は、必要以上に怖がることではありません。
どのような被害が起こる可能性があるのかを知り、住宅の耐震化や早い避難、備蓄などにつなげるための資料です。
特に津波による人的被害は、早い避難によって減らせる可能性があります。
南海トラフ地震臨時情報とは?
南海トラフ沿いで通常とは異なる現象が確認された場合、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報」が発表されることがあります。
ただし、臨時情報は「○日に巨大地震が起きる」と予知する情報ではありません。
大規模地震の発生可能性が、普段より相対的に高くなっているかどうかを知らせる情報です。
臨時情報には4つの主なキーワードがある
| キーワード | 意味 |
|---|---|
| 調査中 | 異常な現象と南海トラフ地震との関係を調査している段階 |
| 巨大地震警戒 | 大規模な後発地震への警戒が必要と評価された場合 |
| 巨大地震注意 | 大規模地震の発生可能性が平常時より相対的に高まったと評価された場合 |
| 調査終了 | 巨大地震警戒・注意のいずれにも当てはまらないと評価された場合 |
「巨大地震警戒」が発表された場合、津波からの避難が間に合わない可能性がある一部地域では、自治体の呼びかけに応じて1週間程度の事前避難が必要になることがあります。
自分で判断せず、国や自治体から発表される情報に従って行動してください。
臨時情報が出なければ安心というわけではない
南海トラフ地震臨時情報が発表される前に、必ず異常な現象が観測されるとは限りません。
つまり、臨時情報が出ないまま南海トラフ地震が突然発生する可能性もあります。
「臨時情報が出てから備える」のではなく、普段から準備しておくことが基本です。
南海トラフ地震に備えて今からできること
南海トラフ地震がいつ起こるかは分かりません。
だからこそ、特別なことを一度に始めるより、普段の生活の中で準備を少しずつ進めるほうが現実的です。
水と食料を最低3日分、できれば1週間分用意する
内閣府では、食料や飲料水を最低3日分、できれば1週間分備蓄することを勧めています。
飲料水は、1人1日3リットルが一つの目安です。
4人家族なら、飲み水だけでも1日12リットルになります。
普段食べている食品を少し多めに買い、食べた分だけ補充する「ローリングストック」なら、無理なく続けやすくなります。
飲料水や食料だけではなく携帯トイレも準備する
大規模地震では、水道が止まるだけではなく、下水道が使えなくなる可能性もあります。
2025年の被害想定では、下水道を利用できなくなる人が約3,570万人に達するケースも示されています。
水や食料と一緒に、携帯トイレや簡易トイレも家族の人数に合わせて用意しておきましょう。
家具の転倒を防ぐ
寝室や居間に背の高い家具がある場合は、固定できているか確認します。
家具が倒れる方向にベッドや布団を置かないことも対策の一つです。
テレビや電子レンジなど、地震で移動しやすい家電も確認しておくと安心です。
モバイルバッテリーと情報収集手段を準備する
停電すると、スマートフォンを充電できなくなる場合があります。
モバイルバッテリーは、充電した状態で保管し、定期的に残量を確認しておきましょう。
スマートフォンだけに頼らず、乾電池式や手回し式のラジオなど、複数の情報収集手段があると役立ちます。
家族の集合場所と連絡方法を決める
地震は家族全員が自宅にいるときに起こるとは限りません。
学校、勤務先、買い物先など、別々の場所にいる可能性があります。
- 自宅から避難する場所
- 家族が合流する場所
- 連絡が取れない場合の行動
- 災害用伝言サービスの利用方法
- 子どもや高齢者を誰が支援するか
この5点だけでも、家族で一度話しておくと安心です。
ハザードマップで自宅周辺を確認する
南海トラフ地震の被害は地域によって大きく違います。
自治体のハザードマップを使い、自宅や職場について、津波、液状化、土砂災害などの危険がないか確認してください。
避難所の場所だけではなく、そこまで安全に移動できる経路も確認しておくことがポイントです。
南海トラフ地震についてよくある疑問
南海トラフ地震は2026年に起きますか?
2026年中に起きるかどうかを予測することはできません。
2026年10月7日時点で、平常時より発生可能性が相対的に高まったことを示す特段の変化は観測されていません。
ただし、長期的には発生確率が高い状態にあるため、普段の備えは必要です。
30年以内に90%なら、もうすぐ起きるのですか?
「60~90%程度以上」という数字から、発生時期までは分かりません。
今日起きる可能性もあれば、何年も先になる可能性もあります。
発生確率と、発生日を予測する「地震予知」は分けて考える必要があります。
南海トラフ地震臨時情報が出たら必ず地震が起きますか?
必ず起きるわけではありません。
臨時情報は、普段と比べて大規模地震の発生可能性が相対的に高くなったことなどを知らせる情報です。
反対に、臨時情報が発表されないまま地震が起こる場合もあります。
まとめ
南海トラフ地震がいつ起きるのか、現在の科学技術で日にちまで予測することはできません。
2026年10月7日に気象庁が公表した最新評価では、平常時より大規模地震の発生可能性が相対的に高まったと考えられる特段の変化は確認されていません。
一方、南海トラフのM8~M9クラスの地震について、30年以内の発生確率は「60~90%程度以上」または「20~50%」と評価されています。
防災の観点では、高い方の「60~90%程度以上」を念頭に備えることが地震本部から示されています。
最大クラスの地震が発生した場合、死者約29万8,000人、全壊・焼失約235万棟など、広い地域で甚大な被害が想定されています。
ただし、この数字は「次に必ずこの規模の被害が出る」という予測ではありません。
大切なのは、いつ起こるか分からない地震を必要以上に怖がることではなく、起きたときに困ることを一つずつ減らしておくことです。
まずは自宅周辺のハザードマップを確認し、水や食料、携帯トイレ、モバイルバッテリーなどの備蓄を見直してみてください。
家族で避難場所と連絡方法を確認するだけでも、大きな一歩になります。
出典・参考資料
- 気象庁|南海トラフ地震に関連する情報(2026年10月7日)
- 気象庁|南海トラフ地震について
- 気象庁|南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ
- 気象庁|「南海トラフ地震に関連する情報」について
- 地震調査研究推進本部|南海トラフで発生する地震
- 地震調査研究推進本部|「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版一部改訂)」の手引き
- 内閣府|令和8年版 防災白書 南海トラフ巨大地震の被害想定
- 内閣府|南海トラフ巨大地震の新しい被害想定と実施すべき防災対策
- 内閣府|国民一人一人の事前の備えについて
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