2025年4月13日、大阪・関西万博がついに開幕しました。
開催前は費用の増加や建設の遅れなど、さまざまな懸念が報じられていましたが、実際に始まってみると、多くの来場者がその魅力を体感しています。
一方で、混雑や施設の不備など、課題も浮き彫りになっています。
この万博が本当に「いのち輝く未来社会のデザイン」を体現しているのか、私たち一人ひとりがその意義を考える時が来ています。
本記事では、万博の現状を多角的に捉え、皆さんと共にその価値を見つめ直していきたいと思います。
大阪万博2025とは？あらためて基本情報
開催期間・開催場所は？
大阪・関西万博2025は、2025年4月13日から10月13日までの6か月間、大阪市此花区の人工島「夢洲（ゆめしま）」で開催されています。
夢洲は大阪湾に浮かぶ埋立地で、物流・IR開発・万博開催を目的とした再開発エリアです。
最寄り駅は、大阪メトロ中央線の新駅「夢洲駅」で、2025年1月19日に開業しました。
これにより、コスモスクエア駅から夢洲駅までの3.2キロメートルの延伸が完了し、万博会場へのアクセスが大幅に向上しました。
テーマと注目のポイント
今回の万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。
このテーマには、世界共通の課題である健康、医療、環境、貧困、ジェンダー平等などのテーマを、先進技術と文化的価値観で解決しようという思いが込められています。
会場では、最先端の医療技術、カーボンニュートラルの街づくり、宇宙・海洋探査に関する体験型展示などが登場する予定です。
企業パビリオンや各国の展示にも注目が集まっています。
日本での万博開催はいつ以来？
日本で国際博覧会（万博）が開催されるのは、2005年の「愛・地球博（愛知万博）」以来、20年ぶりです。
愛知万博では「自然の叡智」をテーマに、環境技術やロボット技術が注目を集めました。
さらにさかのぼると、大阪では1970年に「日本万国博覧会（EXPO’70）」が開催され、アジア初の万博として歴史に名を刻みました。
今回の大阪開催は、1970年以来55年ぶりで、大阪にとっては2回目の万博となります。
大阪万博2025の主な問題点
費用がどんどん膨らんでいる
大阪万博2025では、会場建設費などの費用が当初計画よりも大幅に膨れ上がっています。
当初見積もりは約1,250億円でしたが、最新の報道では会場建設費が2,350億円を超え、運営費や基盤整備費などを含めた総費用は約7,600億円に達する見通しです。
この財源は、国・大阪府・経済界がそれぞれ3分の1ずつを負担する形ですが、「税金の無駄遣いでは？」という声も出てきています。
会場建設の遅れと入札の失敗
会場建設は2023年時点でかなり遅れており、予定通りの完成が危ぶまれています。
特に海外パビリオンの建設に関しては、入札が成立しないケースが相次ぎ、施工業者が見つからないという問題も発生しました。
その原因には、物価高や人手不足、採算の不透明さなどが挙げられています。
2025年3月時点で、海外パビリオンの建設完了率は全体の約2割にとどまっており、開幕に間に合うかどうか不透明な状況です。
夢洲の地盤と環境問題
万博の会場となる夢洲は、もともと産業廃棄物やゴミの埋立地として造成された土地です。
そのため地盤が非常に軟弱で、液状化や沈下のリスクが指摘されています。
また、地下からメタンガスが発生する可能性もあり、環境への影響を懸念する声もあります。
対策としては土壌改良やガス抜き工事などが進められていますが、万全とは言えないという専門家の指摘もあります。
国際参加に影響も？
一部の国では、パビリオン建設の遅れやコストの増加を理由に、出展を断念する動きも出ています。
2024年12月時点で、イラン、エルサルバドル、ボツワナ、南アフリカなど計4カ国が参加を取りやめ、参加国・地域数は158となりました。
これは、万博の国際的なイメージにマイナスの影響を与える可能性があります。
「日本主導の万博に不安を感じている国もある」といった報道もあり、参加国との信頼関係の維持が今後の課題とされています。
市民や地元から聞こえる不安の声
市民の関心が低いって本当？
大阪・関西万博2025に対する市民の関心度は、調査によって異なる結果が報告されています。
- 大阪府と大阪市が2023年12月に実施したアンケートでは、来場の意向を示した人は34.9%で、前年の33.8%からわずかに増加しましたが、主催者が目標とする50%には届いていません。
- 一方、朝日新聞の世論調査では、「行きたい」と答えた人は32%で、年代別では18～29歳と40代が45%と比較的高い関心を示していますが、60代では25%、70歳以上では22%と高齢層ほど関心が低い傾向が見られます。
これらの結果から、全体的な関心度は高くないものの、若年層を中心に一定の関心があることがわかります。
地域への経済効果は期待できる？
大阪・関西万博2025の経済波及効果については、試算によって異なります。
- 経済産業省は、万博による国内経済への波及効果が全国で約2.9兆円に上ると発表しています。
- 一方、帝国データバンクの調査では、万博の経済効果に期待を示した企業の割合は全国で43.5%にとどまり、特に南関東では36.6%、北海道では30.3%と地域差が見られます。
これらのデータから、地域によって経済効果への期待度に差があることがわかります。
万博よりも優先すべき課題とは？
市民の中には、万博開催よりも他の課題に注力すべきだと考える声もあります。
- 大阪府内の学校では、万博への学校単位での参加を見送る動きがあり、2023年11月の調査では滋賀県の招待対象校のうち、参加予定は1万5千人（57校）にとどまりました。これは、前年の220校から大幅に減少しています。
- また、Yahoo! JAPANのアンケートでは、「大阪・関西万博のニュースに関心はありますか？」という質問に対し、「全く関心がない」と答えた人が87.8%に上るなど、関心の低さが指摘されています。
万博開催は必要？それとも見直すべき？
メリットとリスクを天秤にかけて考える
メリット：
- 経済波及効果の期待：政府は、大阪・関西万博の開催による経済波及効果を約2兆9千億円と試算しています。
- 国際的な技術力のアピール：万博は、日本の先端技術や文化を世界に発信する場として機能し、国際的なプレゼンス向上が期待されています。
- 次世代への刺激：若者が世界各国の展示を通じて多様な価値観や技術に触れることで、新たな発想や人材育成につながる可能性があります。
リスク：
- 費用の増大：会場建設費が当初の見積もりから大幅に増加し、財政負担が懸念されています。
- 建設の遅延：一部のパビリオン建設が遅れており、開催に間に合うかどうか不透明な状況です。
- 市民の関心の低さ：一部の調査では、市民の関心度が低いことが示されており、期待された来場者数に達するか疑問視されています。
海外の万博と比較した課題点
- テーマの抽象性：大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」は抽象的で、市民にとって具体的なイメージがしにくいとの指摘があります。
- 経済効果の実感の乏しさ：経済効果の説明が市民にとって実感を伴っておらず、その恩恵が一部の企業や関係者にしか届かないのではないかという疑問が生じています。ニコニコキッチン
- 建設の遅れと参加国の撤退：一部の国がパビリオン建設を断念するなど、国際的なイメージダウンの懸念があります。
これらの点を踏まえ、万博開催の意義や必要性について、メリットとリスクを慎重に比較検討することが求められます。
情報源
❓ よくあるQ&A｜大阪万博の疑問に答えます
Q：大阪万博2025はいつ開催されますか？
A：2025年4月13日〜10月13日までの6か月間です。
会場は大阪市此花区の夢洲（ゆめしま）に建設中です。
Q：費用はいくらかかるの？誰が負担するの？
A：会場建設費だけで2,350億円以上が見込まれています。
このうち国・大阪府・経済界が3分の1ずつ負担する予定です。
Q：建設は間に合うの？完成するの？
A：一部パビリオンの工事が遅れており、入札不成立も発生しています。
主催者は「間に合わせる」としていますが、不安の声もあります。
Q：夢洲ってどんな場所？なぜ不安視されてるの？
A：もともとゴミなどを埋め立てて作られた人工島です。
地盤が軟弱で、メタンガスの発生なども懸念されています。
まとめ｜今後の注目ポイント
大阪・関西万博2025は、未来社会の実験場として
世界からも注目を集めている一大イベントです。
しかしその裏で、建設の遅れや費用の膨張、環境面での不安など、
いくつもの課題が浮き彫りになってきました。
市民の理解や共感を得るためには、
問題点をきちんと伝え、誠実に向き合う姿勢が求められます。
これからの動向にも注目しながら、
本当に“いのち輝く未来社会”にふさわしい万博となるよう、
一人ひとりが関心を持って見守ることが大切です。
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