「マイナンバーカードと運転免許証が一体化された『マイナ免許証』。
便利になるはずが、更新時に“二度手間”が発生していた――。」
2025年3月に始まったマイナ免許証は、免許証情報がマイナンバーカードのICチップに記録される仕組み。
しかし、当初はカードの更新時に再度警察署で手続きが必要となる“二度手間”が問題視されていました。
そんな中、警察庁は9月からシステムを改善し、更新時の免許情報自動反映を実現すると発表。
この変更により本当に手間はなくなったのでしょうか？
この記事では、改善の内容や二度手間がどう変化したのか、さらにマイナ免許証の注意点まで解説します。
デジタル化で便利になるはずの制度を、安心して活用するためのポイントをわかりやすくお伝えします。
「マイナ免許証」の“二度手間”問題とは？
2025年3月に導入されたマイナ免許証。
便利になるはずが、更新時に思わぬ“二度手間”が生じていたことをご存じでしょうか？
ここではその具体的な背景と問題点を整理します。
一体化したはずなのに手続きが2回必要だった
制度開始時はシステム未連携により、利用者に余計な手続きが発生していました。
なぜ“二度手間”が起きたのか？
- マイナンバーカードと免許証の管理システムが別々だった
- カード更新時に免許情報が新カードに反映されなかった
- 更新ごとに「再び警察署へ行く必要」があった
たとえばマイナカードを更新しても、ICチップに運転免許情報は引き継がれず、再登録のため来庁が必要に。
実際の手続きフロー（一例）
- マイナ免許証を取得
- 数ヶ月後にマイナンバーカードを更新
- 免許情報が消える → 再び警察署で免許データの再登録が必要
一体化の意味がない…と批判の声が上がりました。
二枚持ち派が増えた理由の一つにも
この不便さから「マイナ免許証と運転免許証の2枚持ち」を選ぶ人も少なくありません。
二枚持ちの利点（当初）
- マイナカード更新による影響を回避できる
- 万が一どちらかを紛失しても身分証明に困らない
- 海外でのレンタカー利用などにも対応しやすい
券面に免許情報がある“従来の免許証”を持っておくと安心という声が多くありました。
改善の声と制度見直しへの動き
警察庁には、現場や利用者から多くの改善要望が寄せられました。
制度の見直しに至った経緯
- 利便性を高めるための一体化が、かえって負担になっていた
- デジタル庁・警察庁が早期改善に動く
- 2025年9月からシステム改修スタート
一体化の意味を取り戻すべく、制度側も対応を迫られました。
【2025年9月開始】改善された新システムの内容
“二度手間”と不評だったマイナ免許証の手続き。
2025年9月より、警察庁がシステムを改修し、ようやく利便性が向上しました。
どこが変わったのか、分かりやすく解説します。
改正ポイントは「自動連携」
これまでは手動で行う必要があった情報連携が、自動化されたのが最大の変更点です。
具体的な変更点
- マイナンバーカードの更新時に、免許情報が自動で新カードへ引き継がれる
- 警察署や免許センターでの「再手続き」が不要に
- 道路交通法施行規則が改正され、制度的にも整備済み
利用者はカードを更新するだけで、再登録の手間がなくなります。
システム連携による3つの効果
新システム導入により、利用者・行政双方に次のようなメリットが生まれました。
利用者の負担軽減
- 手続きが1回で完了するため、時間も交通費も削減
- 高齢者や忙しいビジネスパーソンにもやさしい制度に
行政コストの削減
- 手続き処理の重複や窓口業務が削減
- データ連携により、事務の効率化が進む
デジタル化推進の象徴に
- 「スマホ一台で完結」が現実に近づく
- 今後の医療・税務・保険手続きとの統合も期待
単なる利便性向上にとどまらず、行政改革の一歩として評価されています。
それでも注意すべき点
便利になったとはいえ、完全に「問題ゼロ」ではありません。
免許証としてスマホ未対応
- 2025年8月現在、iPhoneなどスマホには“免許証機能”が非搭載
- 実際の運転時は物理カード（2枚持ち含む）が依然必要
更新期限は自分で把握する必要あり
- マイナ免許証の券面には有効期限が表示されない
- 更新通知は専用アプリやハガキで受け取る形式
スマホアプリでの確認習慣がない方は、見落としに要注意です。
二度手間は本当に解消された？現場の声と課題
2025年9月からのシステム改善により“二度手間”は解消されたとされていますが、現場の利用者はどう感じているのでしょうか？
便利になった一方で、まだ残る課題や運用上の注意点も見えてきました。
利用者の声「確かに楽になったが…」
改善されたとはいえ、すべての不便が解決されたわけではありません。
ポジティブな意見
- 更新時の手続きが1回で済んだので助かった
- 免許情報もマイナポータルで確認できて安心
- 二度目の来庁がなくなったのが一番大きい
多忙な人にとって「一度で済む安心感」は大きな改善です。
まだ不安な点・不満の声
- スマホに表示できないので“結局カードが必要”
- 券面に有効期限がないため更新時期を忘れそう
- アプリ操作が高齢者には難しい
デジタル慣れしていない層には、完全移行は難しいとの声も。
現場で起きている運用上の課題
新システム導入により、制度面では改善が見られましたが、現場では新たな混乱も一部発生しています。
窓口対応に時間がかかるケース
- 二枚持ち希望者への案内や手続きが複雑
- 窓口職員の説明時間が増えて混雑要因に
初期設定の煩雑さ
- 電子証明書の連携設定が必須（アプリやマイナポータルとの同期）
- 暗証番号の入力や設定ミスで再来庁が必要な事例も
利用者の理解と窓口側の丁寧な案内が今後の鍵となります。
二度手間は「制度上は解消済み」でも…
根本的なシステムは改善された一方で、利用者のITリテラシーや活用環境によっては“別の手間”が新たに生じています。
解消された点
- マイナカード更新時の再手続きは不要に
- 一体化の意味が制度的に実現された
残る課題と対応策
- 更新期限の管理はアプリ通知・ハガキ併用が有効
- 高齢者やITに不慣れな方には2枚持ちも選択肢に
- 利用前にマイナポータル設定・確認方法の周知が必要
利用者ごとの「使い方に応じた最適解」を選ぶ時代に入りました。
そもそも2枚持ちにするべき？メリットとデメリット
マイナ免許証と従来の運転免許証、どちらか一方だけを選ぶのではなく、「2枚持ち」も選択可能。
では実際、2枚持ちにするべきなのでしょうか？メリットとデメリットを比較しながら考えます。
2枚持ちの仕組みとは？
まずは「2枚持ち」とは何かを整理しましょう。
2枚持ちとは？
- マイナンバーカードに免許情報を記録（マイナ免許証）
- 従来のカード型運転免許証も同時に保持
- 両方が「有効な運転免許証」として機能する
1枚失くしてももう1枚が保険になるという感覚です。
メリット｜「安心感」と「使いやすさ」の両立
2枚持ちは、一見無駄にも見えますが、以下のような利点があります。
万が一の紛失時も安心
- どちらかを紛失しても、もう一方で運転可能
- 緊急時のリスクヘッジとして有効
海外や民間施設での提示に強い
- 海外のレンタカー会社では従来の免許証を求められることも
- 民間のレンタルサービスなどで券面提示が必要な場面に対応
高齢者やITが苦手な方に適している
- アプリや暗証番号入力の操作が不要
- 券面に有効期限などが記載されており視認性も高い
アナログとデジタルを併用できるのが最大の安心材料です。
デメリット｜「手間」と「コスト」が増加
ただし、便利な分、相応の負担も伴います。
手続きが複雑になる
- 申請時に2枚持ちを希望する旨を明確に伝える必要あり
- 申請書の選択・窓口確認が増える
費用が高くなる
| 項目 | 1枚持ち （マイナのみ） | 2枚持ち |
|---|---|---|
| 新規取得手数料 | 1,550円 | 2,450円 |
| 更新手数料 | 2,100円 | 2,950円 |
コスト面では「単純に+1,000円前後」かかる点に注意です。
結局どちらがいい？判断基準はライフスタイル
2枚持ちが「正解」とは限りません。以下のような視点から判断しましょう。
2枚持ちが向いている人
- 海外渡航や出張が多い
- スマホ操作に自信がない
- 免許証を提示する機会が多い職業（配達・業務用車両など）
マイナ免許証のみが向いている人
- 日常的にスマホやアプリを使いこなしている
- 手数料をなるべく抑えたい
- 手続きを一元化してスッキリさせたい
今後注意すべき点と対策まとめ
マイナ免許証は制度として着実に改善されていますが、まだ完全に「万能」ではありません。
今後利用者が気をつけるべき点と、それに対する具体的な対策を解説します。
有効期限の把握に注意
マイナ免許証は券面に有効期限が記載されないため、更新タイミングを忘れがちです。
起こりやすいトラブル
- 「有効期限がいつか分からず、更新を逃してしまった」
- 「アプリの通知設定を忘れていて気づけなかった」
対策
- マイナ免許証読み取りアプリをスマホにインストール
- マイナポータルにログインして定期的に確認
- 従来通りのハガキ通知も併用し、紙ベースでも管理
アナログとデジタルの“ダブル確認”が安心です。
スマホ非対応問題への備え
2025年現在、スマホ搭載のマイナンバーカードでは、免許証機能としての利用はできません。
何ができないのか？
- iPhoneやAndroidにマイナカードを入れても「運転免許証としての提示」は不可
- スマホだけでは警察やレンタカーでの提示が認められない
対策
- 運転時は必ず物理カードを携帯する（マイナor従来免許証）
- 2枚持ちを選択すれば、スマホ忘れ・故障時のバックアップに
「スマホだけでOK」は将来の話。現時点ではカードが命綱です。
紛失・盗難時のリスク管理
マイナ免許証は再発行に時間がかかるため、即運転できない状況に陥る恐れもあります。
紛失時の問題点
- マイナンバーカード再発行 → 1週間前後
- 再度免許情報を記録 → 再来庁が必要
- 運転できない期間が発生する
対策
- 署名用電子証明書の暗証番号を控えておく
- **マイナンバーコールセンター（0120-95-0178）**へ即連絡
- 従来免許証を残しておけば運転継続可
紛失リスクに備えるなら「2枚持ち」が最強の保険です。
迷ったら「手続き前に相談」がおすすめ
操作や選択に迷った場合、事前に聞くことでトラブルを回避できます。
相談先の例
- 運転免許センター窓口
- 指定警察署
- マイナポータルのFAQやチャットサポート
「分からないまま進める」のが一番危険です。
まとめ
2025年9月からのシステム改善により、「マイナ免許証」に関する最大の課題であった“二度手間”は大きく解消されました。
これまではマイナンバーカードを更新するたびに、再び免許情報の登録手続きが必要でしたが、今後は自動的に引き継がれるため、再来庁の必要がありません。
一方で、まだiPhoneでは免許証機能として使えなかったり、券面に有効期限が記載されていないため確認方法が限られていたりと、課題は残っています。
特に「マイナ免許証のみ」の人は、万が一の紛失に備えて操作方法や再発行の流れも事前に知っておくことが重要です。
また、二枚持ちを選ぶ人も増えていますが、利便性と手間のバランスを自分の生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
特に海外に行く予定がある方や、高齢の親世代には2枚持ちの安心感は大きいかもしれません。
デジタル化の恩恵を最大限に活かすためには、こうした制度変更の情報を正しく知っておくことが鍵です。
この記事が、マイナ免許証への理解を深め、あなたの選択を後押しする一助になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました！
コメント