「友達と横に並んで自転車を走らせると違反になるって本当?」
「どこまでがセーフで、どこからがアウトか分からない…」
こんな疑問や不安を感じたことはありませんか?
自転車で並んで走る“並進”は、一見よくある光景ですが、道路交通法に照らすと違反となる場合があります。
特に2026年からは全国的な取り締まりが強化され、罰則も明確化されることが決定しています。
この記事では、「並進違反とは何か?」「どんな状況で違反になるのか?」「罰則内容は?」「安全に走るにはどうすればよいか?」をわかりやすく解説します。
「うっかり違反」で後悔しないように、ぜひ最後までご覧ください。
並進違反とは?
自転車の“並進”は、日常的に見かける行為ですが、法律では条件なしに認められていません。
ここでは並進の定義や基本ルール、例外などを整理してお伝えします。
並進の定義
並進とは、2台以上の自転車が横に並んで同じ方向へ同時に走行することを意味します。
この行為は道路交通法で原則禁止されており、「一列での通行」が基本となっています。
道路交通法における位置づけ
道路交通法第19条では「車両等は道路の左側端に沿って通行しなければならない」とされており、自転車もこのルールの適用対象です。
並進の定義と例外

この青い標識は 「並進可」 を示す指示標識です。
つまり、自転車が2台まで並んで通行できる区間という意味です。
道路交通法第63条の5にも、「普通自転車が2台まで並んで走行できる」と明記されています
例外として「並進可」の標識がある場合
- 自転車の並進が認められるのは、「並進可」の標識が設置されている特定の道路のみです。
- この標識がない場合は、どんなに広い道路でも並進は違反とされます。
標識がない道路での並進はすべて違反
- 公園内の遊歩道や車道の広い通学路でも、標識がなければ並進は原則禁止です。
対象になるケースと例外
対象となる並進違反のケース
- 友達と話しながら並んで走行
- 親子で自転車を並走
- 集団走行での横並び走行
例外となるケース
- 自転車専用道で「並進可」標識がある場所
- 一時的に回避行動として並んだ場合(ただし長時間はNG)
ぜこのルールがあるのか?
並進によって以下のようなリスクが生じるため、ルールとして制限されています。
歩行者との接触リスクが高まる
歩道や交差点付近では、歩行者の通行スペースを妨げる可能性があります。
車両の通行を妨げる危険
並走によって自動車の追い越しが困難になり、交通全体の安全が損なわれるケースがあります。
運転操作ミスや事故の増加
会話に夢中になることで注意が散漫になり、反応が遅れ事故を招く恐れがあります。
なぜ禁止されているのか?
自転車で横に並んで走る行為は、一見すると harmless(無害)に見えるかもしれません。
しかし、並進が禁止されているのには、しっかりとした理由があります。
事故防止や他者への配慮を考えたとき、その危険性は決して軽視できません。
通行スペースが狭くなるため
車道をふさぎ他車の妨げになる
自転車が2台以上並んで走ると、車道を大きく占有してしまい、後ろから来る車が追い越せず渋滞や危険な割り込みを誘発する原因になります。
歩道上では歩行者の通行を妨げる
歩道や歩行者道で並んで走ると、高齢者や子どもなど歩行者の進路をふさぎ、接触や転倒の危険があります。
事故リスクが高まるため
視野が狭まり、反応が遅れる
会話に夢中になってしまうことで注意力が散漫になります。
とっさの飛び出しや信号変化への反応が遅れ、事故を招きやすくなります。
並進でハンドル操作に余裕がなくなる
道幅が狭い中で横に並ぶと、バランスを崩しやすく、少しの揺れで接触事故に発展することがあります。
ルールを守る意識を低下させる
「みんなやってるから大丈夫」という気のゆるみ
違反と知らずに並進している人が多く、それを見て「自分も大丈夫だろう」と思ってしまうケースが目立ちます。
これが地域全体の交通マナーの低下につながってしまいます。
信号無視や歩道暴走など、さらなる違反の連鎖を生む恐れも
小さな違反を見逃すと、「少しくらいならいいだろう」と他の重大な違反へつながる傾向もあるため、並進禁止は“ルールを守る基礎”としての意味もあります。
並進の禁止は、単にルールだからではなく、「他者の安全」と「自分の身を守る」ための大切な取り決めです。
自転車が車両として扱われる以上、その走行は自分本位ではなく、社会全体の安全を考えた運転が求められます。
違反するとどうなる?罰則と処分内容(2026年施行)
2026年の道路交通法改正により、自転車に対する違反の取り締まりが強化され、「並進違反」も明確な罰則の対象となります。
特に、事故や注意無視を伴うケースでは、より重い処分が科される可能性もあるため、事前にしっかり把握しておきましょう。
並進違反の基本的な罰則内容
項目 | 内容 |
---|---|
違反名 | 並進違反(道路交通法 第19条) |
反則金 | 3,000円(普通自転車の場合) |
反則適用条件 | 標識のない場所で2台以上が横に並んで走行 |
2026年改正により追加される強化ポイント
警察の現場対応が強化
警察官の現認による注意や指導だけでなく、映像記録による確認・取締りも導入される予定です。
これにより、見落とされがちだった並進行為にも目が届くようになります。
交通安全講習の受講対象に追加
並進違反で取り締まりを受けた場合、悪質または繰り返しの違反者は「自転車運転者講習制度」の対象となり、講習受講が義務付けられます(有料・90分程度)。
赤キップとなる可能性のあるケース
以下のような条件下では、刑事処分対象になる可能性もあります
- 並進中に他人と接触してケガを負わせた場合
- 並進中に警察官の制止命令に従わなかった場合
- 並進により交通の著しい妨げ・事故誘発となった場合
これらの場合、「赤キップ(交通違反即決裁判)」が交付され、前科が付く可能性や略式起訴の対象にもなります。
地域によって差がある点にも注意
都道府県により取り締まりの厳しさが異なる
例えば、東京都や大阪府など都市部では、既に並進に対する警告・取締りが強化されています。
2026年以降は地方自治体でも統一的な運用が進められる予定です。
並進違反は「ちょっとだけ」のつもりでも、違反には変わりません。
違反が原因で罰金を払ったり講習を受けたりするよりも、最初からルールを守って運転することが、結果的には安全で気持ちよい自転車ライフにつながります。
どんな場所で違反が起こりやすい?
並進違反は、悪気なく日常的に行われやすい違反のひとつです。
特に以下のような場所では、気が緩みやすく違反につながるケースが多発しています。
住宅街や生活道路
見通しの悪い道での並進は非常に危険
住宅街では道幅が狭く、交差点の見通しも悪いため、並んで走っていると他の車両や歩行者との接触リスクが高まります。
また、「車があまり来ないから」と油断しやすい環境でもあります。
通学路・通勤路
朝の登校・通勤ラッシュ時に並進が多発
特に学生の通学時、友人同士で話しながら横並びで走る姿が目立ちます。
歩道と車道の区別が曖昧な道や、車とすれ違う場面では非常に危険です。
自治体によっては「並進禁止区域」として指定されている場合もあります。
歩道や公園内の道
歩行者との接触リスクが高い
歩道や公園内の散策路などでは、本来、自転車の走行自体が制限されていることもあります。
そこを並進してしまうと、子どもや高齢者などの歩行者に接触する可能性があり、重大な事故にもつながります。
「並進可」の標識を見落とした場所
標識のない場所=並進禁止の原則を忘れがち
自転車専用道などで「並進可」の標識が設置されていない場合は、原則として並進は禁止です。
しかし、標識が小さく目立たない場所も多く、知らずに違反してしまうことがあります。
観光地や河川敷のサイクリングコース
開放的な気分で油断しやすい場所
広くて空いている道では「これなら並んでも大丈夫」と思いがちですが、サイクリスト同士の接触や急な飛び出し事故が起きるケースも。
観光地では特に注意喚起の看板が増えており、ルール順守が求められます。
並進違反は“無意識”のうちに行われやすい違反です。
「このくらい大丈夫だろう」と思う瞬間こそ、違反のきっかけになります。
特に人通りの多い場所や見通しの悪い道では、常に単独走行を意識するようにしましょう。
安全のためにできる3つの工夫
並進違反を防ぐためには、「違反にならないように気をつける」だけでなく、日頃から安全な走行習慣を身につけることが大切です。
以下の3つのポイントを意識するだけでも、事故のリスクや違反の可能性を大きく減らすことができます。
縦一列で走行する意識を持つ
つい並んでしまいそうな場面でも“縦”が基本
友達と会話しながら走りたい気持ちは誰しもありますが、会話は信号待ちなど安全に止まれる場所で。
走行中は必ず縦一列を守りましょう。
縦に並ぶことで視界が広がり、車両や歩行者にも迷惑をかけません。
「並進可」の標識があるかを確認する
「許可されていない=違反になる」ことを理解する
並進が許されている道には、必ず「並進可」の標識があります。
これがない限りは、並進は禁止だと理解しましょう。
新しい道や知らない場所を走るときは、標識の確認を習慣化することが大切です。
グループ走行では間隔をあけて走る
接触や追突を防ぐために距離を取ろう
複数人で走る場合は、密集せず、十分な車間距離を保って縦に並ぶことが鉄則です。
特に急ブレーキやカーブでの転倒リスクを下げるため、互いに一定の間隔を保つよう心がけましょう。
「つい並んでしまった」「話しながらだと距離が近づいてしまう」 といった場面は、誰にでも起こり得ます。
だからこそ、日頃の小さな意識が、あなた自身と周囲の安全を守る一歩になります。
まとめ
自転車に乗っていて、つい友達と横に並んで会話しながら走ってしまう。
そんな日常のワンシーンが、2026年からは「違反」として見なされ、罰則の対象になることを、この記事で知っていただけたかと思います。
並進は、本人たちにとってはごく自然な行為かもしれません。
ですが、周囲の車や歩行者にとっては思わぬ危険につながる可能性があるのです。
「楽しい」気持ちは大切にしながら、ルールとマナーを守ることも忘れずに。
標識を確認し、縦一列で安全に走行するだけでも、事故や違反のリスクを大きく減らせます。
ひとりひとりの意識が、自転車が走りやすく、そして誰にとっても安心な街をつくります。
ぜひ今日からでも、身の回りの自転車マナーを見直してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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